「定期借家法」とは、平成11年12月15日に公布された、法律名「良質な賃貸住宅等の供給促進に関する特別 措置法」のことで、平成12年(2000年)3月1日に施行されました。
定期借家契約は、貸し主と借り主が対等な立場で契約期間や家賃を決め、合意の上で契約が行われる 自由な賃貸借契約です。 家賃、期間等が当事者の合意で自由に契約できますので、市場原理に則した新しいタイプの賃貸借契約です。 アメリカやイギリスでは、定期借家契約が一般的です。
従来の正当事由借家契約(一般的に「普通借家契約」といいます。)の特徴は、正当事由制度に よる強力な解約制限にあります。
家主からの更新拒絶を通知する場合には更新拒絶の正当事由が必要とされています。
家主側に正当事由がなければ、自動的に更新されることになる法定更新という制度です。
つまり、契約期間を定めていても、期間が満了すれば直ちに契約終了とはなりません。
一方、定期借家契約は、更新がありません。 契約期間の満了により、更新されることなく確定的に借家契約が終了します。
明治産業では、364日の再契約型定期建物賃貸借契約を推奨しています。
理由:
入居者から「必ず、再契約してくれるのか?」と聞かれたら、
「原則的に再契約をする賃貸借契約です。たとえば、賃料滞納や入居ルールを守らないといった契約違反が なければ必ず、再契約することを保証します。」と答えます。
一般の入居者にとっては、更新も再契約も実質的な違いはありませんので、定期借家に対する違和感はないと 思います。
再契約を貸主は拒絶する事由としては、具体的には下記のとおりです。
1年以上の契約で、貸主が期間満了で契約を終了させる場合、終了通知を通知期間内に借主に対して行うことが法律で定められています。 正確に言えば、「通知期間内に終了通知を出せば、確実に契約を期間満了で終了させることができるが、 終了通知を出さない場合、貸主側からは契約終了を借主に対して主張できなくなる恐れがある」ということです。 再契約型借家契約でも終了通知すべきでしょうが、実務上の運用では、終了通知を常に通知期間内に出す必要はないと考えられます。
契約違反のない借主側に再契約の希望がある場合、(=入居者がこのまま物件に住んでいたいと思っている場合)、 「契約が終了する」という文書が届いたときに、借主は勘違いして「自分はこの部屋に住んでいられなくなるので 部屋を探さなければならない」と思い、結果として不要の解約が発生してしまう可能性があります。 良好な入居者なので貸主が再契約しようと思っているときは、終了通知を出す必要性は薄いと考えられます。 再契約手続きが完了してしまえば、終了通知については不問となるからです。
さらに、この終了通知は、内容証明郵便による方法が望ましいとされていますが、再契約しようとしている借主に対しては内容証明郵便では驚かしてしまい、トラブルの元になる可能性があります。 無論、入居者が契約違反をしているので、契約を終了させ再契約には応じない場合は、 内容証明郵便で終了通知を出してより終了を確実にすべきでしょう。
明治産業の「再契約型定期建物賃貸借 住居契約書」では、契約期間が1年未満のタイプと1年以上のタイプで まったく同じ契約約款を使用しています。 理由は、約款に終了通知に関する条文を入れていないためです。
1年未満の契約の場合、終了通知は、一切不要です。 1年以上の契約では、法律上は終了通知をすることになっていますが、実務上は再契約する場合は終了通知を出さなくても、期間終了の1ヶ月前までに再契約の条件協議が整い、期間満了までに再契約が成立すれば特に問題ないと考えています。 したがって、再契約型定期借家においては、終了通知に関する条項は不要と考えました。
事前説明をしなかった場合と終了通知をしなかった場合の違いは、以下の点です。
実務としては、期間満了の2ヵ月程度前に借主に郵送する再契約の案内通知に契約終了通知の内容を盛り込むことにより、終了通知の失念を防ぎ、法的紛争に巻き込まれないような案内文に しています。
通知期間内に終了通知を貸主に通知することを忘れてしまった場合に、いつまでの間ならば終了通知をすることが有効かという問題が考えられます。 このことを巡っては、法律解釈上の争いが生じる可能性があります。
通知期間経過後の終了通知に関し、期間満了までの間については、議論の余地はなく、通知から6ヶ月経つと終了を主張できます。
ところが、定期借家契約の契約期間終了後の終了通知については、「契約期間終了後もできる」という考え方と「契約期間満了まででないとできない」という考え方の2つの解釈があります。
さらに、契約期間終了後の終了通知が認められるとしても、「無制限にいつでもできる」という解釈と「無制限にはできない」という解釈ができます。この解釈上の争いは将来訴訟が行われ、裁判の結果を待つ以外ありません。
契約実務においては、少なくとも紛争に巻き込まれないよう対応を考え、再契約の通知に定借家の終了通知の内容を盛り込むことにより、終了通知の失念を防ぐように対処しました。
なお、終了通知は、賃貸人(貸主)が行うことになります。 したがって、代理方式の管理契約物件の場合は、貸主代理人としてPM会社(加盟店)が借主に対してこの終了通知を行うことになります。
定期借家については、不動産の表示に関する公正競争規約で、 「定期建物賃貸借であるときはその旨および期間」を広告(募集図面、チラシ、新聞広告、雑誌、インターネット) に表示することが義務付けられています。
【記載例】
再契約型定期借家(364日間)
再契約型定期借家契約の運用上の書類に関する留意点をまとめると以下の通りになります。
[ 事前説明と説明書面交付 ]は、必ず必要です。 この事前説明は、定期借家の成立要件だからです。 事前説明ですので、賃貸借契約締結の前に行ってください。 事前説明を賃貸借契約以前に行った証拠として事前説明書および賃貸借契約書に日時(月日だけでなく時分も) を記入してください。
また、委任状交付の取扱いにも注意しましょう。 委任状交付の取り扱いとは、[ 事前説明と説明書面交付 ]義務が、 賃貸人の義務 と法律で定められていることに起因する問題です。
契約終了の1年前から6ヶ月前の間に、 [終了通知]を行う必要があるかどうかは、契約期間によって異なります。
1年未満(ex . 364日契約)の場合は、一切不要です。
契約期間が1年以上の場合は、法律上必要ですが、再契約を予定している場合は実務上不要であると考えています。
しかし、再契約を拒絶する場合は、終了通知が必要になります。 この場合は、配達証明付の内容証明郵便の方が望ましいでしょう。
再契約時も初回契約時と同様に、[ 事前説明と説明書面交付 ]は、必ず必要です。 賃貸人の事前説明は、定期借家契約の成立要件だからです。 事前説明ですので、賃貸借契約締結の前に行ってください。
事前説明を賃貸借契約以前に行った証拠として事前説明書および賃貸借契約書に日時(月日だけでなく時分も) を記入してください。
また、再契約の都度、賃貸借契約書もしくは連帯保証引受承諾書に改めて連帯保証人の印鑑をもらうことが 法律上は必要になります。
これらの点に関しては、実務的には非常に煩わしい問題ですが、法律上の知識をしっかり持っていただいた上で、実務対応してください(たとえば、郵送再契約の場合に、電話で事前説明を行うなど)。
再契約時も重要事項説明を行う必要があります(代理委託方式の場合)。
こちらから夜逃げを促したのではないのに、夜逃げされてしまう場合があります。
夜逃げされて、かつ連帯保証人がいない場合、あるいは連帯保証人がいても法定更新になって5年も10年もたってしまい、結局、滞納賃料を連帯保証人に請求できなくなってしまった場合などは問題となります。
ポイント:内容証明郵便による請求では6ヶ月しか時効は延びず、1回限りである。
調停とは、一口で言うと、裁判所で行う話合いです。調停には民事調停の他にも、家事調停、農事調停などがありますが、債権回収の場合には民事調停です。
調停は、あくまでも話合いですから、結論を強制されることはなく、話がまとまらなければ「不調」、つまり話がつかないまま手続きは終わりになります。申し立てた側が申立てを取り下げることも自由です。
裁判上の和解には2種類があります。1つは訴訟を起こし、裁判の途中で和解に合意して訴訟を終わらせる場合をいい、もう1つは即決和解(訴訟前の和解ともいわれる)といわれ、紛争当事者の一方が相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に和解の申立てをして行います。裁判所は和解案をまとめ、当事者に勧告し、合意がえられれば和解調書が作成されます。
ポイント:訴訟するかどうかは難易度、請求金額も考慮する。
100万円の貸金請求訴訟を起こしたとします。この場合の訴訟の費用は、どうなるでしょうか。
わが国では、民事事件も刑事事件も三審制度をとっています。債権回収の事件は民事事件であり、第一審は地方裁判所、または簡易裁判所です。
その区分けは、訴訟物の価格(訴額)が140万円以下の事件なら簡易裁判所、140万円を超える事件は地方裁判所の管轄と決められています。これを事物管轄といいます。
どこの地方裁判所や簡易裁判所にするか、これを地域管轄と言います。
地域管轄は原則として、被告の住所地を管轄する裁判所です。住所がないときは居所が住所の代わりとなります。
会社などの団体ならば、主たる事務所または営業所の所在地、それがないときは主たる業務担当者(たとえば代表取締役)の住所地の管轄裁判所です。
その他、義務履行地、手形・小切手の支払地、事務所や営業所所在地(その事務所、営業所の業務に限ります)、不法行為地、不動産所在地(その不動産の事件に限ります)、被相続人の住所(その相続事件に限ります)などの管轄裁判所や、原告と被告が合意した裁判所(合意管轄)へも提訴することができます。損害賠償事件では不法行為地の裁判所へ提出してもよいのです。
ポイント:重複して管轄裁判所があれば、慎重に検討する。
原告・被告の双方が同意している場合はその裁判所が管轄することになります。
たとえば、原告・被告双方にとって不便な場合などです。
東京と大阪の訴訟で中間の名古屋にしたという例もあります。
連帯債務者全員に対して訴えを起こす場合や保証人も訴える場合があります。
この場合、まとめて、その内の1人の住所地を管轄する裁判所に訴えることができます。
お問い合わせ、ご相談のご依頼などは、インターネットおよびお電話にて承っております。
